RumiCarシミュレータは、ブラウザだけで自動運転アルゴリズムを書いて走らせられる開発環境です。実車のRumiCarと同じセンサー構成(前方3つのToF距離センサー+車輪エンコーダ)を模擬し、C / Python / JavaScript のプログラムをそのまま実行できます。この記事では、GitHubで公開されているリリースノートとコミュニティ投稿をもとに、開発の歩みを日付つきで振り返ります。
設計の柱
- バイナリ資産ゼロ — 車体・コース・エフェクトはすべて実行時に手続き的に描画。画像ファイルは1枚もありません
- 外部ライブラリ・CDN依存ゼロ — npmパッケージも不使用
- 決定論 — 同じ入力から同じ結果がバイト単位で再現。52本の検証ゲートが同梱されており、誰でも
node wf_run_all.mjsで自分の手で確かめられます - 実機互換 — シミュレータで書いたArduino C++のプログラムは、そのまま実機RumiCarで動きます
開発の歩み(公開記録より)
2026年6月14日 — 初の外部レビュー。ブラウザでシミュレータを操作したAI(Claude)による初見レビューが投稿されました。「物理が誠実」という評価とともに、センサーノイズの注入機能と摩擦円の可視化が提案され、のちに実装されています。
2026年7月5日 — 走行エンジン第3世代「精密動力学 v2」。4輪を個別に解く物理(輪ごとの荷重・デフ・回転)と、運動量の交換で解く接触モデルに全面刷新(開発報告 #28)。特徴的なのは「互換性は祈らず、毎回証明する」方針です。既定設定の物理はバイト単位で不変、過去のレース記録の検証ハッシュもそのまま——これを毎コミット機械検証しながらの刷新でした。「ドリフトはグリップに勝てるか」を20条件で実測して全条件NO(できなかったことも機序つきで公開)という、測定重視の開発スタイルもここで確立しています。
2026年7月13日 — v4.0.0: 性能と正しさの大改修。数値積分の解き方を変えて計算刻みを約9分の1に、坂道の重力を「見た目それらしい」実装から向きを持つ正しいモデルへ是正(舞台裏 #29)。実機のToFセンサー(VL53L0X)の更新レートや外れ値を再現する「実機らしさ」も選択制で入りました。既定の教材物理は不変のままです。
2026年8月2日 — GitHubで公開リポジトリを開設(v5.0.0)。ソースコード一式・検証ゲート・Docker構成を公開し、誰でもクローンして自分のサーバーで動かせるようになりました。
2026年8月5日 — v7.3.0。v5.1からv7.3までの進化をまとめたリリースノートを公開。主な内容:
- 起動高速化(初回描画 700→608ms)とワイド画面レイアウト
- C言語の配列対応と、上級サンプル2本のC移植(Python版と全12,863フレーム一致を機械確認)
- 実機ToFの光学モデル・レインタイヤ・ギア比・サスペンション自由度・連続舵——すべて任意装備で、既定のままなら1バイトも変わりません
- コースの横勾配(バンク)対応。バンク付きコーナーの限界速度が閉形式の理論値と10-16の精度で一致
- チャンピオンシップ・言語別ランキング・チャレンジバッジ・セクタータイム比較などの「学んで伸びる」機能群
2026年8月7日 — 英語READMEを公開。海外の開発者にも全体像が伝わるようになりました。
この開発が大切にしていること
公開されている開発報告を通読すると、一貫した姿勢が見えてきます。互換性は「気をつける」ではなく「毎回証明する」(教材の物理はバイト単位で不変、記録はハッシュで再検証)。できなかったことも隠さない(「ドリフトは速くならない」を72条件の実測つきで公開)。体感より測定(機能の効果は源泉まで切り分けて実測してから採用)。この開発はAI(Claude)が人間の監督・承認のもとで進めており、その経緯自体もGitHub上で公開されています。
シミュレータはこちらからすぐ試せます(無料・インストール不要)。ソースコードはGitHubで公開中。質問・提案はIssueで日本語・英語どちらでも歓迎です。
